本記事では、メニューバー「プロセス」について解説していきます。
13.1 スティッチング
複数枚の画像をつなぎ合わせて、広範囲の撮影像を1つの画像として合成する機能です。
低倍率での撮影では分解能が不足し、高倍率の撮影では撮影範囲に入りきらないような標本の静止画作成に適しています。
スティッチング(接合)には、以下の2種類があります。
・ライブスティッチング
・撮影済み画像を利用したスティッチング
スティッチングの際は以下の項目にご注意ください。
13.1.1 ライブスティッチング
プレビュー中に試料全体を走査(スキャン)し、リアルタイムに画像を合成する機能です。
操作手順は以下のとおりです。
1. カメラリストの中からカメラ名をクリックしてプレビュータブを表示し、スティッチングする試料の起点(試料の角など)に焦点を合わせておきます。
2. ツールバーアイコンの中から、スティッチングアイコンをクリック(もしくは、メニューバーの「プロセス>スティッチング」を選択)すると、スティッチングが開始されます。
3. 顕微鏡のXYステージ等を操作し撮影範囲を移動させると、自動的に画像が繋ぎ合わされていきます。
4. 現在の走査範囲は、長方形で囲まれた範囲です。長方形が緑色で表示されている場合、スティッチング機能が正常に動作していることを示しています。長方形が赤色または黄色になっている場合、スティッチングがうまくいっていないことを示しています。試料の移動が速すぎたり、ご使用のコンピュータの処理速度が追い付いていないことが原因です。この場合は、試料の移動を停止させ、長方形が緑色になるまで試料の位置を戻してください。長方形が緑色になったら、スティッチングを継続することができます。
5. 撮影したい範囲をすべて走査したら、スティッチングアイコンをクリックしてスティッチングを終了します。
スティッチング終了時点では、画像は保存されていません。メニューバーの「ファイル>名前を付けて保存」を選択して、画像を保存してください。
スティッチングの設定
スティッチング後の自動トリミングや自動露出設定等は、「設定」メニューの「その他」にて設定可能です。
- 自動トリミング(外接短形):スティッチング終了時、自動的にトリミングを行うかどうかを選択します。初期設定ではトリミングを行います。
-
自動露出を自動的に無効にする:初期設定ではスティッチング中の自動露出を自動的に無効にする設定になっています。自動露出を有効化する場合はチェックを外してください。
- 較正解像度の設定:スティッチング後の画像に対し較正情報を適用するかどうか選択できます。較正情報を適用することで計測機能が使用できますが、合成時の画像補正等の影響で計測結果に誤差が生じる可能性があります。
13.1.2 撮影済みの画像を利用するスティッチング
あらかじめ撮影した静止画を利用してスティッチングを行う場合は、以下のような手順となります。
1. 以下いずれかの方法で、スティッチングに利用する画像の選択を選択します。
- ブラウズタブ内の画像を利用する方法:フォルダサイドバーを展開し、スティッチングに使用する画像ファイルが保存されているフォルダを表示します。
使用する画像ファイルをすべて選択し、スティッチングアイコンをクリックすると2. のスティッチングダイアログが表示されます。 - 複数の静止画タブの画像を利用する方法:使用したい静止画をMicroStudioのタブに表示した状態で、スティッチングアイコンをクリックすると、以下の画像選択ダイアログが開きます。
各項目については以下のとおりです。
- 使用可能な画像:現在MicroStudioで開かれている画像の一覧です。使用したい画像をクリックで選択します。
- 選択された画像:現在選択されている画像の一覧です。
- 追加>>:「利用できる画像」で選択中の画像を「選択した画像」に追加します。
- すべて追加:「利用できる画像」の画像をすべて「選択した画像」に追加します。
- 削除:「選択した画像」でクリックした画像を削除(選択解除)します。
- クリア:すべての選択を解除します。
スティッチングに使用する画像を選択したら「次へ」を選択します。
2. スティッチングダイアログでは、各項目に従いスティッチングの諸条件を設定します。
- パノラマをまっすぐにする:キャプチャした静止画を一直線(1方向のみ)に重ねる方向を水平:・垂直から選択します。
正方形型にスティッチングする場合等、1方向のみではないスティッチングの場合は「なし」を選択してください。 - 投影タイプ:スティッチングする画像を組み合わせる際の投影法を選択します。
水平・垂直・平面・円柱・球状・フィッシュアイ・立体投影・メルカトル図法・横メルカトル図法から選択できます(初期設定:円柱)。 - 継ぎ目ファインダー:画像同士をつなぎ合わせるための「継ぎ目」を探す手法を選択します。
なし・ボロノイ図・グラフカットカラー・グラフカットカラーグレードから選択できます(初期設定:グラフカットカラー)。 - 露出補償:スティッチングした画像間の露出の違いを修正します。
なし・ゲイン・ブロックゲインから選択できます(初期設定:ブロックゲイン)。 - バンドル調整:バンドル調整の手法を選択します。
光線調整・再投影エラーから選択できます(初期設定:光線調整)。
上記設定が完了後、「次へ」を選択して次のダイアログに移動します。
- マッチング信頼度:1~100の間で選択できます。
- パノラマ信頼度:1~100の間で選択できます。
- マッチング強度:1~100の間で選択できます。
- ブレンド強度:1~100の間で選択できます。
- 初期設定:各設定を以下の設定値に調整します。
・マッチング信頼度:65
・パノラマ信頼度:100
・ブレンド強度:25
・マッチング強度:5
設定完了後、「完了」を選択すると画像の合成を開始します。スティッチングの進行状況は以下のプログレスバーで確認いただけます。
3. スティッチングが完了すると、合成された画像が新しいタブとして表示されます。
この状態ではパソコンストレージ内には画像は保存されていないません。静止画ファイルとして保存する場合、メニューバーの「ファイル>名前を付けて保存」から画像を保存してください。
※スティッチング・スティッチング項目・用語についての詳細は専門書を参照してください。
13.2 ハイダイナミックレンジ(HDR)
複数の異なる露出値を持つ画像を組み合わせて、幅広いダイナミックレンジを持った画像を合成します。
顕微鏡の絞りやカメラの露出時間、ゲインを調整して各明暗箇所に適した露出値を持つ画像を撮影したうえで当該機能を使用します。
13.2.1 ブラウズタブでのHDR合成
画像をブラウズタブより選択し、HDR合成を行います。
フォルダサイドバーを展開し、HDR合成に使用する画像ファイルが保存されているフォルダを表示します。使用する画像ファイルをすべて選択した状態で右クリックし、表示されたドロップダウンメニューからハイダイナミックレンジ(HDR)を選択します。
HDR合成が完了すると新しいタブとして合成された画像が表示されます。
13.2.2 静止画タブでのHDR合成
静止画タブとして表示させた画像から選択し、HDR合成を行います。
例として、以下の3つの画像を使用します。

露出値の低い画像

露出値が適正な画像

露出値の高い画像
メニューバー「プロセス>ハイダイナミックレンジ」を選択します。
表示されたハイダイナミックレンジ(HDR)ダイアログにて、HDR合成に使用する画像を選択します。
使用可能な画像:MicroStudioで開かれている画像一覧
- 使用可能な画像:現在MicroStudioで開かれている画像の一覧です。使用したい画像をクリックで選択します。
- 選択された画像:現在選択されている画像の一覧です。
- 追加>>:「利用できる画像」で選択中の画像を「選択した画像」に追加します。
- すべて追加:「利用できる画像」の画像をすべて「選択した画像」に追加します。
- 削除:「選択した画像」でクリックした画像を削除(選択解除)します。
- クリア:すべての選択を解除します。

HDR合成後の画像
「OK」をクリックすると、選択された画像を使用してHDR合成を開始します。
HDR合成が完了すると新しいタブとして合成された画像が表示されます。
この状態ではパソコンストレージ内には画像は保存されていないません。静止画ファイルとして保存する場合、メニューバーの「ファイル>名前を付けて保存」から画像を保存してください。
13.3 フォーカススタッキング(焦点合成)
焦点位置の異なる複数の画像を合成し、昆虫や機械部品など、高さがある立体的なサンプルの全体に焦点が合った写真が生成できます。焦点合成、EDFとも呼ばれます。
フォーカススタッキングには、大きく分けてリアルタイムに合成を行うライブフォーカススタッキングと撮影済みの静止画を使用しするフォーカススタッキングの2つの方法があります。
13.3.1 ライブフォーカススタッキング
リアルタイムプレビュー像を使用しての焦点合成は、以下の手順で操作します。
1. カメラを接続し、カメラ名をクリックしてプレビューを開始します。フォーカススタッキングを開始する起点(標本の上端もしくは下端)に焦点位置を調節します。
2. ツールバーのEDFアイコンをクリックすると、フォーカススタッキングを開始し、自動的にキャプチャが始まります。
3. 合成素材のキャプチャは自動的に行われるため、焦点位置のみを手動で調整します(標本上端を起点とした場合は、標本下端に向けゆっくりと焦点をずらしていきます)。
現在撮影中の画像は画面左下に、現時点までの合成後画像がプレビュー画面に表示され、合成後の画像は自動的に画像タブとして保存されます。
4. 焦点合成が完了したら、再度EDFアイコンをクリックしてフォーカススタッキングを終了します。
ライブフォーカススタッキングの設定
ライブフォーカススタッキングに使用するアルゴリズムやプレビュー画面サイズは「設定」「その他」で選択することができます。
- 自動露出を自動的に無効にする:フォーカススタッキングは複数枚の画像を合成するため、画像ごとに露出時間が異なると良い結果が得られない可能性が高くなります。
初期設定では自動露出を無効にします。 - 較正解像度の適用:較正情報を合成後の画像に適用し、計測機能を使用できるようにします。ただし、合成時に起こる画像のズレ等により計測結果に誤差が生じる可能性があります。
- アルゴリズム(方法の選択):「最大コントラスト」「加重平均」「スタック」から選択できます。初期設定では「最大コントラスト」となっております。
- プレビュー画面サイズ(Video area size):フォーカススタッキング中のプレビュー画面(左下の表示画面)サイズを10%~40%から選択します。
13.3.2 撮影済みの画像を利用するフォーカススタッキング
あらかじめ撮影した静止画を利用してスティッチングを行う場合は、以下のような手順となります。
1. 以下いずれかの方法で、スティッチングに利用する画像の選択を選択します。
- ブラウズタブ内の画像を利用する方法:フォルダサイドバーを展開し、スティッチングに使用する画像ファイルが保存されているフォルダを表示します。
使用する画像ファイルをすべて選択し、右クリックで表示されるドロップダウンメニューからフォーカススタッキングを選択すると2. の「方法を選択します」ダイアログが表示されます。 - 複数の静止画タブの画像を利用する方法:使用したい静止画をMicroStudioのタブに表示した状態で、スティッチングアイコンをクリックすると、以下の画像選択ダイアログが開きます。
表示されたダイアログにて、フォーカススタッキングに使用する画像を選択します。
- 開く:現在MicroStudioで開かれている画像の一覧です。使用したい画像をクリックで選択します。
- 選択した画像:現在選択されている画像の一覧です。
- 追加>>:「利用できる画像」で選択中の画像を「選択した画像」に追加します。
- すべて追加:「利用できる画像」の画像をすべて「選択した画像」に追加します。
- 削除:「選択した画像」でクリックした画像を削除(選択解除)します。
- クリア:すべての選択を解除します。
2. 「方法を選択します」ダイアログでは、フォーカススタッキングの手法を3つの選択肢から選びます。
- 加重平均:滑らかな合成を行うことができますが、細部のディテールが失われる可能性があります。
この手法は顕微鏡画像の合成の際にはFFDSSD法より良い結果が得られる可能性が高いです。
使用される画像はZ軸に沿って(レンズに近い→遠い、または遠い→近い)順番に撮影されている必要があります。 - 最大コントラスト:加重平均法と似た手法ですが、細部のディテールがより鮮明になります。
最大コントラスト法でも使用される画像はZ軸に沿って(レンズに近い→遠い、または遠い→近い)順番に撮影されている必要があります。 - FFDSSD:高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform, FFD)を使用します。位置がずれている画像を補正しての合成も可能です(ずれを補正する際の標準画像はオートまたはマニュアルで選択可能です)。
各手法にはそれぞれ以下のオプション設定が用意されています。
■加重平均オプション
- 細部の精細さ:合成画像の細部の精細さを調整します(10~240)。
- 総明度:合成画像全体の明度を調整します。
細部の精細さ、背景明度を操作すると合成画像の明度が変化するため、これらの影響を補正するために使用します(10~240)。 - 背景明度:背景を合成する際の明度を調整します(10~240)。
- 初期設定:各項目を以下の初期設定値に戻します。
・細部の精細さ:107
・総明度:125
・背景明度:93
「次>」を選択すると自動整列ダイアログが表示され、画像間のずれの補正について設定します。合成に使用する画像間に含まれるずれに応じて、適切な自動整列モードを選択します。
- なし:合成の際にシフト、スケール、回転などの補正を行いません。
- シフト+スケール:合成の際にシフト、スケール補正を行います。
- シフト+スケール+回転:合成の際にシフト、スケール、回転補正を行います。
- 最大角度:「シフト+スケール+回転」選択時のみ操作可能です。
回転補正時の最大角度を0.1°~10°の間で調整します(初期設定値:1°)。最大角度が大きい場合や、各画像間の角度のずれが一定ではない場合は処理時間が長くかかる場合があります。
■最大コントラストオプション
最大コントラストを選択した場合のオプション設定は加重平均と同じです。
■FFDSSDオプション
FFDSSDオプションダイアログの「自動的に参照画像を決定します」にチェックを入れた場合、フォーカススタッキングの前に選択された全画像を分析してずれ補正に使用する標準画像を自動的に決定します。
チェックを外した場合、選択された画像の1枚目が標準画像として使用されます(初期設定:チェックあり)。
3. 各オプションの設定後、完了を選択するとフォーカススタッキングを開始します。進行状況は以下のようなバーで表示されます。
13.4 蛍光画像合成
多重染色した蛍光試料をモノクロで撮影した場合等、それぞれの蛍光物質に合わせた色を着色して合成することにより、1枚の多重染色写真が生成できます。
蛍光物質名から選択しての着色や、カラーバランスのマニュアル調整、画像間のずれの補正も可能です。
また、カラー画像から一つの色を抽出し、他の画像との合成も可能です。
「プロセス>蛍光画像合成」を選択すると以下のダイアログが表示されます。
- 元画像:蛍光画像合成に使用可能な画像が表示されます(MicroStudio上のタブで開いている画像のみ)。
合成画像の大きさは一枚目に選択した画像に依存し、一枚目を選択すると元画像ボックスには同じ大きさの画像だけが表示されます。 - 追加:元画像ボックスで選択した画像を合成に追加します。追加する際にはカラーダイアログで色を指定します。
また、追加画像で「背景」を選択することで、明視野画像を背景に使用した合成画像も生成可能です。
- 削除:合成に追加した画像を削除します。
- カラー:追加した画像に指定されている色一覧を表示します。画像のファイル名をダブルクリックする、またはファイル名を選択してカラーの設定をクリックすることで、指定した色の変更ができます。
- カラーの設定:追加した画像の色を指定します。指定する方法は以下のとおりです。
1)カラー値スライダを操作する。
2)ダイアログの下に表示されている一覧よりカラーボタンを選択する。
3)ダイアログ下部の染料ボックスより染料選択する。 - 定義済み:蛍光画像合成に使用した色の組み合わせを保存し、読み込みます。
多重染色試料の画像合成を複数回行う際、色の組み合わせを一度保存しておき、合成する画像を選択して設定を読み込むことで自動的に多重染色の合成画像が生成されます。合成に使用する画像の選択は「ブラウザ」タブ、もしくは「サムネイル」タブより行ってください。
蛍光画像合成の手順例(3色多重染色画像の合成)
1. 「元画像」で、1枚目に着色する色を指定し、「追加」ボタンを押すと以下のダイアログが表れます。
ここで1枚目の画像に対して着色を行います。
スライダで色を指定する他に、ダイアログ下部のボックスで蛍光物質名を選択しての着色も可能です。
- 選択した色:カラーの設定で選択されている色と、その色のRGB情報が表示されます。
- 現在値:現在指定されている色と、その色のRGB情報が表示されています。
1枚目の画像に着色を行った場合のダイアログ(左)と画像(右)は以下のようになります。
2. 「元画像」より、次に合成する画像を追加し、1. と同様の手順で着色を行います。
2枚目の画像に着色を行った場合のダイアログ(左)と画像(右)は以下のようになります。
3. 手順2. と同様に3枚目の画像を合成します。
3枚目の画像に着色を行った場合のダイアログ(左)と画像(右)は以下のようになります。
合成が完了したらダイアログ右上の×でダイアログを閉じ、タブをダブルクリックして画像を保存します。
蛍光画像合成後に行う、カラーバランスの調整などについては以下をご覧ください。
- 調整(すべての画像):調整を行う対象にすべての画像を指定します。
- 調整(選択された画像):選択中の画像のみを調整対象とします。
- 登録:登録ボックスではフィルタなどで生じた光学的なずれを補正することができます。カラーボックスで選択された画像を矢印でxまたはy方向に移動することができます。画像を移動させて生じた開きピクセルには黒色が自動的に設定されます。0,0を選択すると画像を元の位置に戻します。
- コントラスト:BCGスライダを使用し、明度(B)、コントラスト(C)、ガンマ(G)を調整できます。
- 最適:明度とコントラスト値を自動的に最適な値に設定します。ガンマ値は50に設定されます。調整を始める際に使用するとその後の微調整を素早く行うことができます。
- リセット:BCG値をリセットします。
- 背景:指定した画像を合成画像の一番奥(背景)に表示します。
背景に設定した画像の色は、その手前に配置される他の色とは混ざらず、前に配置した色のみが表示されます。合成に使用する画像の内広い範囲をカバーするものが存在する際に非常に有効です。 - 新規:現在のカラー合成を破棄して新しい合成を開始します。
13.5 自動カウント
画像内の細胞や粒子の数を自動でカウントします。
自動カウント方法は以下3つの方法から選択可能です。
- ウォーターシェッド変換
- 判別分析法(暗)
- 判別分析法(明)
以下の3つはカウント時の検出を容易にするための画像分割・画像処理に用います。
- RGBヒストグラム
- HSVヒストグラム
- カラーキューブ
13.5.1 ウォーターシェッド変換
ウォーターシェッド変換は比較的シンプルな背景や、背景と大きな差がある対象を分割するのに適しています。
「プロセス>自動カウント>ウォーターシェッド変換」を選択すると、以下のダイアログが表示されます。
- 近似:カウントする形状を「なし」「円」「楕円」から指定できます。
- 穴つき:チェックを入れると、対象の内部に穴があり、背景が見える場合にチェックします。右の画像はチェックなし、右の画像はチェックありです。左の画像では穴を除外して選択されていることがわかります。
- スタイル:カウント時の表示スタイルを選択します。
「アウトライン」は対象の輪郭のみを色でマーキングし、「埋める」は色で対象を塗りつぶします。
「なし」を選択すると対象をマーキングしません。 - ラベル方法:ラベリングの方法を選択します。
「排他的平均和」はピクセルの排他的平均和を利用しラベルします。
「真」を選択すると指定した色でラベルします。
「なし」を選択するとラベルしません。 - タイプ:ラベルのタイプを選択します。
「面積」では対象の面積をピクセル数で指定し、下限~上限の範囲の面積を持つ対象をラベルします。
「周囲長」も同様に、下限~上限の周囲長を持つ対象をラベルします。
ラベルされた結果が以下の画像で示されています。
13.5.2 判別分析法(暗)
判別分析法(暗)は判別分析法を使用し明るい背景の上に存在する暗い対象を区別する方法です。
以下のような画像を区別できます
13.5.3 判別分析法(明)
判別分析法(暗)は判別分析法を使用し暗い背景の上に存在する明るい対象を区別する方法です。
以下のような画像を区別できます。
13.5.4 RGBヒストグラム
RGBヒストグラムに設定した下限と上限の間の値を持つピクセルを選択します。
「プロセス>自動カウント>RGBヒストグラム」を選択するとヒストグラムダイアログが表示されます。
- 下限
:ヒストグラムの左側に表示されている下限線をマウスでドラッグするか、ヒストグラム下部左側のボックスへの数値入力で下限の値を指定します。
- 上限
:ヒストグラムの右側に表示されている上限線をマウスでドラッグするか、ヒストグラム下部右側のボックスへの数値入力で上限の値を指定します。
:ヒストグラムを赤・緑・青それぞれのチャンネルに切り換えます。
:チェックすると、RGBすべての色チャンネルのヒストグラムを表示します。
:分割されたピクセルの色を選択します。
- オプション:カウントオプションダイアログを表示します(項目はウォーターシェッド変換法と同様です)。
RGBヒストグラムの使用方法
1. 静止画タブに画像を表示し、「プロセス>自動カウント>RGBヒストグラムメニュー」を選択します。
画像の上にマウスカーソルを動かすと、スポイトカーソル(+)が表示されます。
2. スポイトカーソル(+)を画像の中の任意の位置に移動すると、現在選択されているピクセルのRGB値がヒストグラムに表示されます(以下例ではR232・G53・B31です)。
この値を基に、任意の対象物に近いRGB値を色ごとに範囲指定し、画像を分割することでカウントを行いやすくします。
13.5.5 HSVヒストグラム
HSVヒストグラムに設定した下限と上限の間の値を持つピクセルを選択します。
「プロセス>自動カウント>HSVヒストグラム」を選択するとヒストグラムダイアログが表示されます。
- 下限
:ヒストグラムの左側に表示されている下限線をマウスでドラッグするか、ヒストグラム下部左側のボックスへの数値入力で下限の値を指定します。
- 上限
:ヒストグラムの右側に表示されている上限線をマウスでドラッグするか、ヒストグラム下部右側のボックスへの数値入力で上限の値を指定します。
:ヒストグラムを赤・緑・青それぞれのチャンネルに切り換えます。
:チェックすると、RGBすべての色チャンネルのヒストグラムを表示します。
:分割されたピクセルの色を選択します。
- オプション:カウントオプションダイアログを表示します(項目はウォーターシェッド変換法と同様です)。
HSVヒストグラムの使用方法
1. 静止画タブに画像を表示し、「プロセス>自動カウント>HSVヒストグラムメニュー」を選択します。
画像の上にマウスカーソルを動かすと、スポイトカーソル(+)が表示されます。
2. スポイトカーソル(+)を画像の中の任意の位置に移動すると、現在選択されているピクセルのHSV値がヒストグラムに表示されます(以下例ではH82・S176・V219です)。
この値を基に、任意の対象物に近いHSV値を色ごとに範囲指定し、画像を分割することでカウントを行いやすくします。
13.5.6 カラーキューブ
「プロセス>自動カウント>カラーキューブ」を選択するとカラーダイアログが表示されます。
デフォルトではスポイトカーソル(+)が選択されており、マスクされた範囲の値の平均を基本値として設定し、その範囲内の色を持つピクセルを選択して塗りつぶします。
選択したいピクセルを連続的にクリックすると、色の範囲を追加できます。
- スポイトカーソル(+)
:マスクされた範囲の値の平均を基本値として設定します。
- スポイトカーソル(-)
:マスクされた範囲の値の平均値を基本値から除去します。
- 選択範囲
:スポイトカーソル(+)、スポイトカーソル(-)を使用する際の選択範囲の大きさを選択します(1*1・3*3・5*5・7*7から選択)。
初期値は3*3ピクセルで、9ピクセル分の値の平均値を利用します。 - RGB
:分割したピクセルを表示する色を選択します。初期設定では緑色です。
- オプション
:以下のオプションダイアログが表示されます。
カラーキューブ分割の使用方法
1. 使用する画像をタブに表示します。
2. 画像の平滑化を行います。平滑化のアルゴリズムは複数ありますが、この例では以下のように行います。”プロセス>フィルタ”メニューからモーフォロジー操作を選択するとダイアログが表示されます。任意の方法で平滑化を行います。
3. ”プロセス>自動カウント>カラーキューブ”を選択し、カラーダイアログを表示します。
4. デフォルトではスポイトカーソル(+)が選択されています。分割する色を持った範囲を選択します。誤って追加したくないピクセルを選択してしまった場合はスポイトカーソル(-)を使用することで取り除く事ができます。
13.5.7 オブジェクトの分割
上記の画像の#16のように、実際は二つに分かれている物体が分割機能では一つの物体として選択される場合があります。オブジェクトの分割を選択するとこのような状態を補正できます。
以下のように#16の中央に左マウスボタンを押したままドラッグし、直線を引きます。直線の両端は分割するオブジェクトの線の外側に位置するようにします。
左マウスボタンを離すとオブジェクトを2つに分割します。以下のように、#16だったものが#12と#17として表示されています。オブジェクトの分割をもう一度選択し、分割する際に引いた線を非表示にすることで分割完了です。
13.5.8 計数結果
自動カウントで得た結果から、以下の情報をまとめて表示します。
- インデックス
- 中心座標
- 軸の長さ
- 面積
- 周囲長
表示されている情報の単位は、現在選択している単位と同じです。
上部の項目名(インデックス・面積等)を選択すると、選択した項目の値を使用してデータをソートします。
特定の項目を選択すると、その項目の値が画像上で選択されます。この際、他の項目は画像上で非表示になります。
「エクスポート」ボタンで計数結果と画像の情報をまとめてExcelフォーマットにエクスポートできます。
13.6 ノイズ除去
画像処理にて、撮影した静止画上のノイズを除去します。
ノイズ除去は以下3種の方法から選択できます。
- 適応ウイナーフィルタ
- 双方向フィルタ
- ノンローカルミーン
13.6.1 適応ウイナーフィルタ
適応ウイナーフィルタは画像の詳細な情報を保存するのに最適な方法です。ノイズレベルを自動的に計算し、画像に適応します。
13.6.2 双方向フィルタ
双方向フィルタは画像に含まれるエッジを保存するのに最適な情報です。
フィルタには空間ドメインとバリュードメインの二種類のパラメータが存在しています。
- バリュードメイン:ノイズ除去に使用するピクセル数です。高く設定するほどノイズ除去の精度は向上しますが、処理速度は低下します。
- 空間ドメイン:高く設定するほどノイズ除去の精度は向上しますが、処理速度は低下します。
13.6.3 ノンローカルミーン
ノンローカルミーンは非常に効率的なノイズ除去の手法です。
フィルタには三種類のパラメータが存在しています。
- 強さ:フィルタを適用する強度。高く設定するほどノイズは軽減されますが、画像の詳細情報も失われます。
- テンプレートウィンドウ:テンプレートブロックの大きさです。デフォルトは7に設定されています。
- 検索ウィンドウ:イメージパッチの加重平均値を計算する際の大きさです。高く設定するほどノイズ除去の精度は向上しますが、処理速度は低下します。初期設定値は21です。
13.7 シャープ
静止画の鮮鋭度を向上させます。
以下2種の方法から選択できます。
- アンシャープマスク
- ラプラシアンシャープ
13.7.1 アンシャープマスク
- 半径:強調する画像の境界の大きさについてのパラメータです。小さな物体が多い場合は小さい値を選択します。
- しきい値:シャープを適応する際の最小の明度の変化を設定します。平滑な範囲が粒状に強調されてしまう現象を防ぎます。値が大きいほどシャープの範囲は小さくなります。
- 量:境界に補正で付け加える明度の変化をパーセンテージで設定します。値が大きければ大きいほど変化が大きくなります。

オリジナル画像

アンシャープマスク適用後
13.7.2ラプラシアンシャープ
画像の精細な情報を強調することができます。明度に鋭い変化を起こす物体を強調しますが、ノイズも同時に強調されてしまいます。使用する際はノイズ除去後をお勧めします。

オリジナル画像

ラプラシアンシャープ適用後
13.8 カラートーニング
撮影した静止画の画質・色味等を調整します。
13.8.1 ガンマ
画像に含まれるミッドトーンを補正します。
- プレビュー:チェックを入れると、較正効果をプレビューしながら操作できます。
- ガンマ:ガンマ値を補正します。左側が0、右側が3.0です。デフォルトは1です。
13.8.2 ヒストグラム均等化
画像のコントラストを強調します。
「プロセス>カラー トーニング>ヒストグラム均等化」を選択すると以下のダイアログが表示されます。
- 強さ:強調の補正の強度を調整します。右側にスライダを移動されるほど補正の強度が増します。

オリジナル画像

ヒストグラム均等化後の画像
13.8.3 局部色彩補正
局部色彩補正では、ピクセルごとのガンマを補正します。
「プロセス>カラー トーニング>局所色彩補正」を選択すると以下のダイアログが表示されます。
- 強さ:強調の補正の強度を調整します。右側にスライダを移動されるほど補正の強度が増します。範囲は1~100で、初期設定値は50です。

オリジナル画像

局部色彩補正後の画像
13.8.4 AMSR
カメラのダイナミックレンジがモニターのダイナミックレンジを上回っている場合、以下のような白飛び・黒つぶれが起こることがあります。
AMSRを行うことで画像内の白とびや黒つぶれを補正することができます。

オリジナル画像

AMSR適用後の画像
13.9 フィルタ
様々なフィルタを画像に適用することができます。
MicroStudioにはコンボルーションフィルタとノンコンボルーションフィルタが存在しています。
各フィルタには個別のプロパティタブが存在しており、フィルタについての詳細を設定できます。「編集>取り消す」でフィルタの取り消しができます。
13.9.1 ノイズ除去合成
- ローパス:画像のエッジを滑らかに補正します。ノイズ除去と同等の効果があります。
- ハイパス:画像のエッジを強調します。高コントラストな情報を残します。
- ガウス:ガウス関数により高周波情報を軽減します。ローパスと似た効果がありますが、画像の情報を残すことができます。
- ハイガウス:ガウス関数により画像のエッジを強調します。高コントラストな情報を残します。ハイパスよりノイズの効果を抑えることが可能です。
- イコライゼーション:画像のコントラストを、ヒストグラムを使って補正します。
- シャープネス:画像の精細部を強調します。アンシャープマスク法を使用します。
- 中央値:ノイズを軽減します。
- ランク:インパルスノイズを軽減します。ピクセルを強度順に並べ、突出して明るいピクセルを周囲と同じにします。
- フィルタ参照ピクセル:参照するピクセル数が多いほどフィルタの影響は強くなります。
・3×3:フィルタが9ピクセルごとを参照します。
・5×5:フィルタが25ピクセルごとを参照します。
・7×7:フィルタが49ピクセルごとを参照します。 - パス:フィルタを画像に適用する回数を選択します。選択する回数が多いほどフィルタの効果は強くなります。
- 強さ:フィルタの影響の強さを選択します、範囲は1-10です。10はフィルタの効果10割、1は1割を示します。
- ウィンドウ:フィルタを適用する際に考慮する周辺のピクセル数を入力します。ウィンドウの大きさは入力した長さの辺を持つ正方形分になります。(2 なら2×2=4ピクセル)
- 最適:パラメータを現在選択されている画像に最適な値に自動設定します。
- 線形:ヒストグラムを強度スケール上に線形に配置します。最も広いダイナミックレンジを持った高コントラスト画像になります。
- 対数:ヒストグラムを強度スケール上に対数形に配置します。少ないダイナミックレンジを持った高コントラスト画像になります。明るい画像を補正するのに適しています。。
- 指数:ヒストグラムを強度スケール上に指数形に配置します。少ないダイナミックレンジを持った高コントラスト画像になります。暗い画像を補正するのに適しています。
13.9.2エッジ強化
ソーベル:画像上の大きなエッジを強調するのに使用します。3×3ピクセルの範囲に処理を施し、エッジを強調します。
- ロバーツ:画像上の詳細なエッジを強調するのに使用します。4×4ピクセルの範囲に処理を施し、エッジを強調します。
- 彫刻:彫刻状の補正を施します。
- ラプラス:画像の輪郭を抽出します。
- 水平:水平のエッジを検出し、強調します。
- 垂直:垂直のエッジを検出し、強調します。
- フィルタ参照ピクセル:参照するピクセル数が多いほどフィルタの影響は強くなります。
・3×3:フィルタが9ピクセルごとを参照します。
・5×5:フィルタが25ピクセルごとを参照します。
・7×7:フィルタが49ピクセルごとを参照します。 - パス:フィルタを画像に適用する回数を選択します。選択する回数が多いほどフィルタの効果は強くなります。
- 強さ:フィルタの影響の強さを選択します、範囲は1-10です。10はフィルタの効果10割、1は1割を示します。
13.9.3 モーフォロジカル
画像に映る物体の大きさを変更することができます。
- 収縮:明るい物体を小さく、暗い物体を大きく見せます。
- 拡張:明るい物体を大きく、暗い物体を小さく見せます。
- オープニング:明るい物体が暗い背景の上に存在している場合、エッジを滑らかします。
- クロージング:明るい物体が暗い背景の上に存在している場合、エッジを鋭くします。
- トップハット変換:画像上の背景より明るい小さな物体を強調することができます。
- 井戸変換:画像上の背景より暗い小さな物体を強調することができます。
- 傾斜:画像上のエッジを強調します。
- ウォーターシェッド変換:白黒画像上の触れている物体を離して、触れる直前まで戻します。
- 細分化:白黒画像上の物体の縁だけのこして残りを消去します。
- 距離:白黒画像上の塊状の物体の中心から周囲の長さを計算します。
- フィルタ参照範囲:参照するピクセル数が多いほどフィルタの影響は強くなります。
・2 x 2 四角形
・3 x 1 行
・1 x 3 列
・3 x 3 クロス
・5 x 5 円
・7 x 7 円
・11 x 11 円 - パス:フィルタを画像に適用する回数を選択します。選択する回数が多いほどフィルタの効果は強くなります。
- しきい値:白黒画像のバイナリ化の強度を選択します。範囲は1-100です。
13.9.4カーネル
フィルタのカーネルファイルを操作できます。
- フィルタタイプ:操作したいフィルタの種類を選択し、編集を押してダイアログを開きます。
- カーネルサイズ:カーネルの大きさを入力します。各方向に最大9ピクセル分追加することができます。
- 埋める:カーネルの各要素を特定の値で埋めるには埋めるボックスに0-10の値を入力します。
- オフセット:操作されるピクセルを中央のピクセルから変更する場合のX、Yオフセットを入力します。
- 新規:新しいカーネルファイルを追加します。
- 削除:選択したカーネルファイルを削除します。
- オプション:フィルタ毎に違うオプションが表示されます。
13.10 イメージスタッキング
同じ試料を撮影し続けた動画から、ノイズを除去した1枚の静止画を生成する機能です。
「プロセス>イメージスタッキング」を選択すると以下のようなダイアログが表示されます。
保存済の動画を選択し、「開く」を選択します。
イメージスタッキングが完了すると、スタッキングされた静止画が新しいタブに表示されます。
13.11 ラインのプロフィール
「プロセス>ラインのプロフィール」を選択すると線の上のピクセルがどのように分布しているか表示できます。
「測定>任意の線」「測定>垂直線」または「測定>水平線」で画像上に線を引き、「プロセス>ラインのプロフィール」を選択するとラインのプロフィールが表示されます。
ラインのプロフィール:横軸が空間上の位置、縦軸が色強度を示しています。色強度は0-255の間の値を取ります。
13.12 表面プロット
「プロセス>表面プロット」を選択すると、画像の色強度を三次元プロットで表示します。
x軸が画像の横の位置、y軸が縦の位置、z軸がピクセルのグレー値です。
プロットの表示ウィンドウでクリックすると、プロットを回転させて表示可能です。
- 三次元方位:表示されている三次元プロットの位置を調整します。左側が位置でデフォルトは0.5。右側がz軸の倍率でデフォルト1です。
- リセット:三次元方位の値をデフォルトに戻します。
- 背景の色:三次元プロットの背景色を選択します。
- キャプチャ:ラインのプロフィールを画像としてキャプチャします。
- カラー表:プロットのグレー値に色を指定します。
13.13 疑似カラー
色を二つ指定し、白黒画像の濃淡情報に従って二色の間のグラデーションをグラフに色付けます。
白と黒に対応する二色をダイアログで選択することで疑似カラー画像を生成します。
13.14 範囲
選択すると以下のようなダイアログが表示されます。
垂直線で色強度の上限と下限を設定できます。
3チャンネル毎に設定可能で、マウスドラッグで任意の値を設定します。
編集ボタンで各チャンネルの値の強度を操作できます。
- リセット:上限と下限をリセットします。
- 最適:各値を最適値に設定します。
- 反転:色を反転し、ネガ画像を表示します。
- キャンセル:設定をキャンセルします。
- OK:変更を画像に適用します。
13.15 バイナリ
バイナリはグレースケール化の一種です。色強度がしきい値より高い値を白に、低い値を黒に変更します。
ダイアログの線がしきい値を表しています。マウスドラッグか、ボックスに値を入力することで任意の値に設定できます。最適ボタンを選択すると値を最適値に設定します。