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【WRAYCAM】印刷サイズにおける顕微鏡用カメラの選び方【解像度】

顕微鏡用カメラをご検討いただいているお客様の多くが「高解像度のカメラ」を希望されます。

昨今ではデジタルカメラのみならずスマートフォン搭載のカメラでさえも高解像度化が進んでおり、「カメラの解像度が高ければ高いほど綺麗な写真が撮影できる」ということが一般的な理解として広がっていますが、実は一概にそうとは言い切れません。

もちろん解像度が高いほど高精細な写真が撮影できるのは事実ですが、場合によっては高解像度なカメラを使用してもあまりメリットが無いということがあります。

この記事では顕微鏡用カメラにおける解像度の選び方を解説していきます。

1. カメラの解像度とは

「カメラの解像度」とは、カメラに搭載されているセンサー(撮像素子)のにおける有効画素のピクセル数を指します。

例えば、顕微鏡用USBカメラWRAYCAM-NOA2000の場合、搭載されているセンサーは横5440個・縦3468個のピクセルが並んでおり、合計約2000万個のピクセルが存在します。

この大量に集合した粒(ピクセル)により画像を表現するため、粒が荒いものよりも細かいもののほうが綺麗に見え、高解像度=美しい画像というようなイメージにつながります。

2. 高解像度のメリット

本記事では、前述した通り「高解像度のメリットが無い場合」について解説していくことになるのですが、もちろん高解像度がまったく無意味なものであるということではありません。

逆に用途によっては高解像度が必須となる場合もあり、主に以下のようなケースが考えられます。

2-1. 大サイズ写真印刷時の画質におけるメリット

撮影した静止画を紙面に印刷する場合、dpiという単位で精細度を表現します。

dpiは「1インチ(25.4mm)の長さに何個のピクセルを配置するか」という単位で、この数値が高ければ高いほど1インチの中にたくさんのピクセルがある、つまり同じサイズの画像を印刷する場合でもより細かく表現された画像になる、ということになります。

dpiは1インチあたりの数値であるため、印刷する写真のサイズが大きくなればなるほど、高い数値を保つためには高い解像度が必要となってきます。そのため、高画質かつ大きなサイズの写真印刷用途の場合には、解像度の高いカメラが必要となります。

一般的に300~350dpi程度であれば商業印刷レベルのいわゆる「写真画質」であるといえます。

WRAYMERの顕微鏡用カメラを使用した際に350dpiで印刷可能な最大サイズと一般的な用紙サイズとの比較については以下画像をご参照ください。

各顕微鏡用カメラでの350dpi印刷最大サイズ

2-2. パソコン・モニタ上でのデジタルズームにおけるメリット

顕微鏡側の倍率操作ではなく、画面上の表示比率を変更して拡大するデジタルズームを使用する場合、高解像度の顕微鏡用カメラを使用するメリットが大きくなります。顕微鏡側の倍率操作ではなく、画面上の表示比率を変更して拡大するデジタルズームを使用する場合、高解像度カメラを使用するメリットが大きくなります。

デジタルズームは光学的に倍率を高めているわけではなく、センサーを使用する領域を制限して狭い範囲を撮影し、画面上に大きく引き伸ばすことにより拡大しています。つまり、より狭い範囲を大きく拡大するほど使用するセンサーの領域が小さくなり、使用するピクセル数が減少します。

そのため、元のピクセル数が多いほど(解像度が高いほど)、大きく拡大したときの画像劣化が少なく済みます。

2-3. 4Kモニタ等の高解像度モニタにおけるメリット

使用しているディスプレイ・モニタの解像度が高いもの(4K・8Kモニタ等)を使用している場合は、高解像度な撮影像をそのまま表現できることがあるため、解像度の高い顕微鏡用カメラを使うメリットが大きくなります。

3. 一般的なパソコン・モニタの解像度

2020年現在では、前述の4K・8Kといった非常に解像度の高いモニタが登場していますが、まだまだ一般的に広く使用されているわけではなくありません。

顕微鏡用USBカメラはノートパソコンに接続して使用するケースが多くありますが、ノートパソコンの場合、現在主流となっているモニタ解像度はハイビジョン(HD)~フルハイビジョン(FHD)であり、フルハイビジョンの解像度は1920×1080ピクセルの約200万画素程度となっています。

モニタ自身のピクセル:画像のピクセルが1:1以上のものを画面内に収めることが出来ず、画面内に画像がすべて収まっているということはモニタ自身の解像度になるまで画像を縮小している、ということになります。

つまり、撮影した画像が2000万画素であっても、モニタの解像度がボトルネックとなり、2000万画素を表現できないということになります。

前述した紙面印刷やデジタルズームを使用せず、フルハイビジョン解像度のモニタを使用する場合、顕微鏡用カメラの解像度は200万画素以上であれば、精細度において特に差を感じることはありません。

もちろん、デジタルズームや紙面印刷時の保険として高解像度を担保しておくことも一考ですが、どんな用途であっても高解像度がメリットになるわけではないということを理解したうえで機器を選定することが必要です。

顕微鏡カメラ解像度の選び方まとめ

顕微鏡用カメラの解像度が高いことによる仕様上のデメリットはありませんが、多くの場合高解像度であるほど価格も高くなります。

以下の点を基準にすることで、オーバースペックにならない機種を選定する一助になるかと思いますので、ぜひご参考ください。

高解像度カメラをおすすめするケース

  • A4全面やA3ポスター等への印刷を行う
  • デジタルズームを多用する
  • モニタの解像度が非常に高い(4K・8K等)

解像度をあまり重視しないケース

  • 紙面への印刷用途が無い
  • デジタルズームを使用しない
  • 一般的な解像度のモニタである(フルHD以下)